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「TRUE colors YA!ジェンダーフリーアンソロジー」を読んで

|2026/11/01

「TRUE colors YA!ジェンダーフリーアンソロジー 画:漫画:鎌谷悠希」を読んでみた。

6つの物語。
ジェンダーフリーとあったので、身構えて読んだ。身構えて正解だったなと思う。
昭和かと思える作品がチラホラあったので、価値観のアップデートをお願いしたい。

・女子校か、共学か。それが問題だ! 作:小林深雪
仲の良かった男の子が共学に行って、恋人ができてしまったお話。
「好きな人」という言葉は私も良く使う。この言葉はすごく便利で性別を特定しないから。なので、早くから仕掛けがわかってしまったと同時に、主人公の『共学だったら自分が付き合っていたのかも』と思える自信もすごいなと思う。単純でわかりやすくてほのぼのしながら読めた。

・チョコレートの香りがするね 作:にかいどう青
友達の女の子が彼氏とののろけを話してくるお話。
乱暴な言葉遣いが合わなくて苦戦した。実は主人公は男の子でしたと途中でわかるのだけど……。いろんな意味でグロイなと思う。男の子たちの『俺もスカートを履けば女子更衣室に入れるかな』という言葉にただ戸惑うだけの主人公も、それをかばう友達の女の子も、怒りがからかった男の子にだけ向けられるのも……何読まされてんだ?と思う。
まず真っ先に主人公(MTF)が『入れるわけないだろ』と否定しろ。それが出来ないなら、せめて大人を介入させろ。……これ以上はキリがないからやめるけど、この作品が一番最悪だった。ただ、これを書かれた時はこの価値観が広がってた時期なのだろうなとは思う。今は、時代が変わったので『多機能トイレ』を設置するか、男性は男性にするかのどちらかだと思う。あと、女性トイレに入りたい男性はカウンセリング必須。(性別逆でも同じ)

・チキンとプラム 作:長谷川まりる
家に居場所のない女の子たちのお話。
主人公は父親の性的虐待(お風呂を覗こうとする事)に苦しんでいるけど、家族もそれを本気にしないで冗談だと受け止めるという昭和感満載の作品。さらにこれが『セクハラだよね』で止まっているので時代錯誤も甚だしい。これは性的虐待であり、子どもの『嫌だ。やめろ』を尊重してないのも不適切な養育になる。モラル(道徳)の問題ではなくて、虐待なので矮小化して書くのやめてほしい。

・いわないふたり 作:如月かずさ
女の子同士で付き合うお話。
クラスが別々になり不安になる二人……。これ、なぜ『付き合ってることを隠そう』なのかがわからなかった。『同じクラスの時に仲良くしていた』ならクラスが別になっても関わりあるのは普通ではないの?今の時代は、クラスが別になったら、関わってはいけないの?そのルールがわからない。と苦悩した。
普通に『友達』として周囲に伝えるではダメな理由が全く分からなかった。でも、感情の流れも物語も好み。だからこそ、細かい部分の雑さというか『空気感だけで押す』感じはがっかりする。

・羽つきスキップ 作:水野瑠見
子どもっぽい男の子のお話。……いや。まて、それを子供っぽいって言うのやめろや。大人を出してちゃんと主人公を『かっこいい大人の第一歩だね』って褒めてやってくれぇぇ。と思ってしまった。
下ネタ話に乗らないとか、ナプキンをうっかり渡すことを子供っぽいにしないでほしい。勘違いだろうが何だろうが、『ナプキンを渡す』事自体は何の問題もない。ただ、女の子もお年頃だから『男の子から手渡されたくない』気持ちがあるだけ。この場合は『先生にひっそり渡してね。もしくは保健室に届けてね……かな?』という大人の指導をしっかり入れてほしいんだけど。なんで、子供っぽいで終わらせたんだ。
下ネタに乗らないのは当たり前だし、むしろ、下ネタを喜んでる方がガキだよという大人の指導を入れてほしい。このテーマで書くなら足りないと思った。

・いつかアニワの灯台に 作:菅野雪虫
母親に振り回される娘のお話。
すごい。ここまではわかりやすいお話だったのに、お話のレベルがぐっと上がりすぎて『読み取る力』が求められる作品だった。
わかるんだけど、他の作品との差が大きすぎてもう少しどうにかならなかったのかな……と思う。いや。でも、私の好みだけどさ。作品自体はすごく好き。
作品の雰囲気も流れも、複雑で広がりあるテーマも好き。正しさの息苦しさがひやりと伝わる感じがした。

読み始めと読み終わりはホッと出来る物語だったので、読めた。でも、このテーマならあと一歩調べて考えて深めて書いてと思ってしまう。足りない作品が多い。
ごちそうさまでした。

『TRUE colors YA!ジェンダーフリーアンソロジー』