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「変身」を読んで

2023/07/15

青空文庫で「変身」を印刷した。
カフカの「変身」は聞いたことだけあった。


芋虫……毒虫になるお話というのだけは知っていたが、読んだことがなかった。


ある日、突然毒虫に変わる。それでも必死に仕事に行こうとする主人公。最初は家族も会社の人も外に連れ出そうとするが、毒虫になった主人公の姿を見てやめる。
主人公はその後は部屋の中で過ごして、妹がかいがいしく世話を焼く。やがて、いくつかの小さな事件の後、主人公は死ぬ。
妹と両親は引っ越しをする事を決めて、新しく人生をやり直す。
というような話。



たしかこれ、100分で名著でやってた気がする。
そこで、『ひきこもりの人のお話し』みたいな事を言ってたような……曖昧な記憶。

ひきこもりの人のお話しとして読むと、なんだか身につまされる。主人公の死は餓死で誰かのせいではないのだけど、これって『セルフネグレクト』かなと思った。
家族は食事を運んでいたけど、主人公は食べなかった。
家族は食べない事を気にしない。むしろ最後は、『主人公はシンデホシイ』という願いさえもってしまう。家族であっても、役に立たない人間は要らない。

結構、残酷な話だったんだなと思った。


ただ、意思疎通が出来ないものは人間とはみなさない……というのは分かるので、何とも言えない部分はある。感覚的なものとして意思疎通が出来るかどうかは、人間にとってかなり重要なんだろうなと。みんな、テレパシーが使えたらいいのにね。
あとは、福祉(社会)の問題とかも絡んでくるのかな。それとも、文化だろうか?

最後は主人公以外の家族の人生がばら色で終わってたけど、これ、妹も毒虫に変わったら……どうなってるんだろうか?とも思ってしまった。もしくは、父親か母親が……やはり、死ぬまで待つのだろうか?
色々と考えてしまう。


短編でサクサク読める。青空文庫でそのまま読んでも良かったかも。