日本の貧困女子 (SB新書) 新書
– 2019/11/6 中村淳彦 (著)
「日本の貧困女子」を読んでみた。
なかなかヘビーな話続きで、重い。とても重い話が多かった。
物語なら『これは現実ではない』という言い訳も聞くけど、『リアル』な話は重い。
そして最近、虐待系の話もあまり読まないし、そこまで重い話を読む事も少なくなってたなぁ。と思い出す。
『想像する以上の出来事が現実にはある』と言う事も改めて思い出した。
で、この本の重さは『悲惨さ』だけではなくて、『微妙に実体験や肌感覚とリンクする部分』がある事。
今まで読んだ虐待の本は『虐待』だけにクローズアップされていて、『子供にこんな悲惨な事が起きている』という視点がほとんどだった。
時々『育てにくい子供を虐待してしまう親』とか、原因について踏み込んでいるものもあったけど、それもどこか『他人事』だった。
この本の怖いのは『地方ならどこにでも転がっている男尊女卑な風潮が、女性を貧困に追いやる』という点。
もちろん、原因はそれだけではないだろうけれども……何度も出てくる、『男尊女卑』のシステムは私が知ってるものと同じでゾッとした。
一章の「地元が閉塞して、未来がないのがわかってるのは、頭のいい人だけ」というフレーズ。…『頭のいい人だけ』なのかは疑問だけれども、地方の大半はそんな感じだろうなと思う。
虐待と貧困の話がずっと続く内容……長男優遇とか、娘からお金を巻き上げる親とか。
性風俗の話も出てくる。で、思い出す。東京に来た頃、性風俗の求人募集の車が平然と走ってるのを見てすごいと思った。
あれ…OKなの?すごいね。地方だったら絶対走れないと思うケドな。ちょっと調べたら、色々と法の網をかいくぐってるらしい。
……いやでも、地方ならあんなの色々と苦情が来て叩き潰されそうだけどなぁと思うケド……東京であれがOKなの不思議。
一章だけですでにお腹いっぱいな話が満載だった。
おかげで二章の不倫話は平和で穏やかな章に見えた。
けど、途中で子供の話が入ってきて、やっぱり重い。保護者が保護者放棄する話とか、そんなバカな……と思ってしまった。
三章四章も重い話が続く。なんかもう、感覚麻痺してくるくらいの重い話しかない。
そしてラストが『がんの診断を受けても働く』女性の話。
それでも働こうと思う『迷惑をかけたくない人』がいるらしい。それはそれだけで、幸せそうだけど、『幸せ』だから『貧困でもいい』わけでもない。
普通の女性が転落していく様も書かれていて、『一寸先は闇』で誰にでも起こりうる貧困がそこにあるんだなと思う。
……重すぎて、次に読む本はもっと軽い本が良いと思った。