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「LGBTとハラスメント」を読んで

2024/02/20

LGBTとハラスメント (集英社新書)
– 2020/7/17 神谷 悠一 (著), 松岡 宗嗣 (著)

「LGBTとハラスメント」を読んでみた。

基本的なことは大体知ってる……と思っていたけど、説明できるほど知ってるわけではないので『漠然とした知ってる』が『ちゃんと形になってる』と思った。


でも……言葉が多すぎだし、カタカナにアルファベットばかりで、『知るかそんなもの!!!』という気分もある。
興味範囲の知識はあるけど、それでも複雑と思ってしまうのだから、興味のない人からみると『何がなんだかわけが分からない』な感覚もわかる。


ざっくりと基本は『いろんな人がいるから、言動(言葉や態度)には気を付けよう』と言う事。
さらに『嫌だと言われたら、それはやめておこう』 「なぜなのか、わからない」でもいいから、『やめる』

言葉はその後でいいし、「何かそんな感じ」程度の知識でいいんじゃなかろうかと、個人的には思う。


章ごとの感想。
序章は基本的な言葉の確認と、知識。
……大体知ってる。けど、ここにさらに複雑怪奇なものも入ってくるんだよなぁとか……思ってしまった私。
性別の話だから、性別で区切られてるけど、『異生物』の場合や『無機物』の場合も入ってきたら……と考えてしまった。


一章二章三章は「よくある勘違いのパターン」として、LGBTの困りごとを書いてある。
読みながら、「あー。あった。あった」と思いつつ、でもこれ、別のジャンルでもよくある事だろうなと思った。
「LGBT」だけじゃなくて、「発達障害」「鬱病(メンタルヘルス)」etc.
さらにここに、非当事者の勘違いではなくて、当事者自身もまた勘違いに囚われていたりする。
……非当事者なら「お前に分かるものか」で済ませるけど、当事者だと……色々地獄な感じがしてどう対応していいのか分からなくなる。


パターン1の「LGBTではない=普通」というものなんて、ありきたりすぎるけど。
非当事者だけじゃなくて、(ビアン)当事者も「私たち普通じゃないから、辛いよね」と、こっちに同意を求めてきたりする。
いや。『普通ではない』と思ってしまう事が辛いのであって、『普通ではないから辛い』のではない。

そして私は、恋愛なんて千差万別だと思ってるので、異性愛者だって辛いこと沢山あるさと思っている。なので、「同性愛は普通ではないから辛い」には同意できない。


パターン8のLGBTの友達はLGBT
昔々、SM趣味の知り合いがいた。で、ある時、旅行に誘われた。
行かなかったけど、その知り合いが友達も一緒に来るから……と言っていたので一応聞いてみた。
「もし私が、あなたと一緒に行く事になっていたら、もしかして私はその友達からSM仲間だと思われてた?」と
「当然。みんな知ってるから」と返ってきた。
……。
LGBTに限らず、友達は同類と思うのはよくある事。
でも、勝手に同類と思われるのは困る。
人類という同類であることに違いはないけど、それ以外の事を勝手に『同類』にしないでほしい。

パターン9「LGBTのようにみえる」と勝手に決めつける人たち
これの逆パターン。
「えー。(ビアン:女性同性愛者に)みえない」と、他のビアンさんから言われたことが、何度かある。
……すみません。ビアンの世界がよく判りませんが、『ビアンっぽい』ってあるんですか?と聞きたくなった。
どうやら、ボーイッシュ(男っぽい感じ)な人=ビアンっぽい……のかなと思ったのは、かなり後になってから。
かと思えば、「ボーイッシュな人の何が良いの? 女の子同士でイチャイチャしたいのに」というビアンさんもいる。
よくわかりませんが、ボーイッシュ同士かフェミニン(女の子っぽい感じ)同士かで別れているのか???と未だに疑問に思う。
ビアンの世界の謎。

パターン15「私は気にしない」が「差別しない」だと思ってしまう人たち
とある異性愛者(既婚さん)にカミングアウトした後、「私は気にしないよ。そんなの」と言った人がいる。
その後で「男性が嫌いだから、女性なの?」と盛大な地雷を踏んでくれた。
『気にしない』というのは、本当にそのまま『気にした事がない』だけで、分かっているわけではない。
気にしない人間ほど、地雷を踏む可能性が大きい。

パターン16「私はLGBTの友人がいるから理解がある」と思い込む人たち
昔、「自分は鬱病になった事があるから、鬱になってる(診断されたことはない)ミラクの事が分かる」と豪語した人がいる。
当時私はおそらくうつ状態で、自傷行為も酷かった。
が、その言葉を聞いて、「わかるわけないだろ」と思える平常心は持ち合わせていた。
同じ状態だと診断されたとしても、『人それぞれ』なので『わかる』なんて事は口が裂けても言えない。
私は同性愛者らしいが、他の同性愛者の事なんぞ全く分からないし、理解できるとも思えない。
もちろん、理解出来たらいいと思うし、分かり合いたいとも思う……でも、出来るのはそこまで。
……そして大体、理解できずに終わっていく。

パターン18 制服の問題がトランスジェンダーだけの問題だと思う人たち
雪国暮らしなので、冬は寒いです。
ずっと制服の学校で小学校はズボンがあったのに、中学に入ると消え去りました。
高校も同じく……私の足が凍える冬を6年間耐えました。
寒さ対策として、『防寒具』を要求したいです。トランスジェンダー云々ではなくて。
むしろなぜ、トランスジェンダーが絡まないと制服が変わらないのか謎すぎる。

パターン20初対面ですぐ「彼氏/彼女いるの?と聞く人たち
昔々、「彼氏いるの?」と聞いてました。私。
初対面でいきなりではないし、ちゃんと相手の様子を探りながらだけれども。
そこで、言いよどむ。誤魔化す。などの反応を見て、こちらがカミングアウト。
同性愛者を探すには最適な質問なのです。
今はやらないケド……。


四章・五章は人事や労務など、会社での話がほとんど。
……ちょっと難しいので、読み流し。
色んな施策があるんだなと思った。


カミングアウトのお話しも書いてあった。
上記にも私がカミングアウトをしたという話を書いたけど、
これは『職場で一部の人(同性愛者)にのみ』と『話の流れで話した、趣味仲間』のみ。
職場の年齢層が低かったのもあって、恋愛話はよく出て来てたので、性別を言わずに話していた。
……個人的にはいつ気がつかれてもいいやと思ってたけど、「相手は変わった男性なのね」で終わった。
意外と気がつかないものなんだなと思った。
一応、家族にも言ってあったけど……家族の反応は『冗談でしょ』と言った感じで流された。
父には、ネタにされるという地獄付き。

カミングアウトは世界が変わるとも思わないし、特に必要がないので、理解も求めてない。
地雷を踏んでも……まぁ。凹むけど、『分からないモノ』に対しては誰でもそんな感じなんだろうなとも思う。
私もうっかり地雷を踏む事はあるので、人の事は言えない。

悪意だけは勘弁してほしいけど、幸い同性愛者であることで悪意を向けられたことはない。
むしろ、女性である方が生きづらい(平気で踏まれる事が多い)と思ってしまった。
同性愛者でも「体で誘惑したんでしょ」なんて言われないけど、女性と言うだけで「体で稼いだんでしょ(営業の仕事を体で誘惑して稼いだ)」と言われたことはある。
LGBTの本なので、LGBTの生き辛さを書いてあるケド、イマイチピンと来ない。それは女性差別の方が酷いからだと思う。



でも、LGBTの基本を押さえるには良い本かなと思う。

『LGBTとハラスメント』